青春アドベンチャー雑記帳~オーディオドラマ・ラジオドラマの世界

NHK-FMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」の紹介ブログです。前身番組の「サウンド夢工房」・「アドベンチャーロード」等も含みます。一応「格付」するなど評価・評論風のことも書いていますが、堅い話はともかく雑談・脱線ありありで、オーディオドラマを中心とした楽しい世界を紹介します。リンクフリーです。

小学校低学年の子供と一緒に聴く青春アドベンチャー作品、ベスト5

【なんでもベストテン15】小学校低学年の子供と一緒に青春アドベンチャーを聴こう、5選

皆さんがラジオドラマを聴き始めたきっかけって何だったのでしょう。
テレビが一般家庭に普及する前だったらともかく、1970年代以降は完全にドラマといえば「TVドラマ」になっていたはずですので、お茶の間で家族と一緒に自然とラジオドラマを聴くということはなかったと思います。
学校で級友との話題にでることもあまりなかったでしょう。
ただ青少年の娯楽としてラジオ番組、特に深夜ラジオは一定の地位を保っていましたので、何らかのラジオ番組を聞いている途中でたまたまラジオドラマにぶつかる、という出会いが多かったのではないでしょうか。
私もそのクチで、一番最初にNHKのラジオドラマを聴いたのは小学校高学年の頃かあるいは中学生の頃だったように記憶します。
このような意図しない形での出合いでしたので、内容も必ずしも子供向きのものではなく、たまたまだったかもしれませんが、結構大人向きの内容の作品だったのように記憶します。
私にとってラジオドラマは、他の人が知らない楽しみであると同時に、それまで自分が読んでいた小説、漫画、見ていたドラマやアニメとはちょっと違った作品群に関わる入り口にもなりました。
ちょっとした背伸びの場であったといっても良いかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが、私には小学校低学年の子供がおります。
いつか一緒にラジオドラマを聴きたいとは思ってはいたのですが、いくら最近、低年齢向きの作品が多い青春アドベンチャーとはいえ、さすがに小学校低学年の子供には理解できないだろうと思っていました。
そこで、「おはなしの旅」(2003年から2013年までNHKラジオ第2で放送されていた小学生向きの朗読・ラジオドラマ番組)の録音を一緒に聴いてみたりしました。
これはこれで悪くないのですが、さすがに親の方がちょっと物足りない。
改めて思い出してみると、自分だってよくわからない内容ながら、背伸びをしてラジオドラマを聴いていました。
高校生くらいに聴いたものでさえ、今聴きなおしてみると、結構、印象が変わるものも多い。
なにも作品のすべてを分かってもらう必要はない。
ストーリーの大枠を理解出来て(親が言葉を足すことも含めて)、何かしら子供にとっても面白い要素があればそれで十分なのではないか。
そもそもすぐれた作品であれば、(ある程度は)年齢を超越して受け入れられるのではないか。
そんな思いで何作品か子供と一緒に聴くことにチャレンジしてみました。
結果は、意外といい感じでしたので、子供が喜んだ作品を5つほどピックアップしてみました。
なお順位に客観的な基準はなく、私が子供の喜んだ程度をみて感覚的に順位付けしています。
ちなみにカッコ(『』)内は子供自身から聞いた感想です。
まあ、この程度の理解です(笑)

●第1位:「クラバート」(2016年) 『カノジョが助けてくれたのが良かった』
中世ヨーロッパという子供にはわかりづらい時代設定ですが、同じ状況が何度も繰り返されるため状況は意外と子供にも理解しやすかったようです。
その中で徐々に謎が提示されていくため、ストーリーの難易度もそれほど高くなく、親方の醸し出す少し不気味な雰囲気もあいまって、楽しく聴くことができたようです。
第2位の「びりっかすの神さま」と同様に、「学校」(「クラバート」では魔法学校)が舞台であるのも子供にはわかりやすいのでしょう。
主人公クラバート役の上村祐翔さんや、途中でガラッと印象の変わるユーロ―を演じた土田玲央(れいおう)さんなんかが印象的だったのでないかと思っていたのですが、わが子の発言を聴くと相沢舞さんが演じる「少女」(名前が設定されていない)が記憶に残っているみたいです。

●第2位):「びりっかすの神さま」(2014年) 『ビリーズとかが面白かった』
主人公の始(はじめ)が小学生で、舞台も現代日本の小学校だということもあり、小学生に聞かせるにはぴったりです。
しかし、先が読めない巧みなストーリー展開で大人が聴いて楽しい作品でもあります。
また、田村睦心さん、久野美咲さん、渡辺明乃さん、川澄綾子さんといったアニメ畑の声優さんが多数出演されているのも子供には聞きやすい要因のひとつかもしれません、
“びりっかすさん”役の俳優・小林顕作さんもなかなか好評でした。
ちなみに同じ原作者で、異世界を舞台にしたファンタジー作品である「二分間の冒険」も、第1話を聴かせていみたのですが子供には不人気で継続しませんでした。
同じファンタジーの「クラバート」は大丈夫だったんですけどね。

●第3位:「走れ歌鉄!」(2016年) 『最初は歌は一つだったけど、みんなが歌うようになって面白かった』 
戦災孤児たちを主人公にしたこの作品。
実は売春婦の話が出てきたりするので、むしろ小学校高学年の子に聴かせるためには配慮が必要なのかもしれませんが、わが子は小学校低学年なので、その点は軽くスルーしました。
本作品を語る上で避けて通れないのが、脚本の今井雅子さんと音楽の澁江夏奈さん
後半になるにつれ色々な大人が歌いだす仕掛けには、わが子も大興奮。
メッセージが伝わったのかは何とも言えませんが、まあ楽しめたのなら良しとしましょう。

●第4位:「カモメに飛ぶことを教えた猫」(2015年) 『猫なのにカモメを飛ばせたから面白かった』
この作品いいですよね~。
フォルトゥナータの「私は幸せなカモメ」というセリフを思い出すだけでも、涙がちょちょぎれそうになっちゃうあたり、私も年をとったものだと思います。
この作品の良さが(少しでも)わが子に伝わった(かもしれない)ことが嬉しいです。
というのも、この作品、主な登場人物が猫とカモメという点で子供に訴求する要素もあるのですが、難解なセリフ回しと繊細な演出は子供向きとは言えません。
というかセリフの音量が小さすぎます。
まあそれがこの作品の良さではあるのですが。

●第5位:「泥棒をつかまえろ!」(1989年) 『警察官が無責任だった』
本作品は1989年に「アドベンチャーロード」で放送された作品。
小学校低学年にも聞かせられそうな作品がなかなか見つからず、こんなに昔の作品に遡ってしまいました。
人種差別やプロパガンダと集団心理の闇といったハードなテーマを、関根勤さんと古川登志夫さん(うる星やつらの「諸星あたる」)のコメディ感のある演技に包み込んだ作品なのですが、正直、子供には伝わらないだろうなあと思っていました。
でも子供に聞いて真っ先に出てきた感想が「警察官が無責任だった」という言葉。
もちろん十分には伝わっていないのですが、感受性の方向は悪くない気がします。

これらの作品は受け手として子供を意識した児童文学的な作品が多く(歌鉄は違う気がする)、一定のメッセージ性をもって作られています。
「訴えたいメッセージがあるなら、まずはエンターテイメント作品として成立させて欲しい」というのが私の持論なのですが、子供も楽しく聴けたという意味で、上記の5作品はすべてその要件を満たした作品だったと思います。

その他、2015年一番人気で私も割と気に入っている「タランの白鳥」も聴かせたのですが、子供の心にはヒットせず。
考えてみると、一見、童話風ですが、抽象度の高さといい、セリフ回しの難解さといい、「タランの白鳥」は大人にこそ受けそうな作品でした。
「いい作品は世代を超えて受け入れられる」といっても限度がありますよね。
また、主人公・也太(なりた)のあまりの精神年齢の低さから、小学生の感覚にもマッチするのではないかと思って聞かせた「93番目のキミ」も冒頭1話でギブアップ。
幼稚とはいえ一応大学生である也太の持つ小ズルさは、やはり小学生の小ズルさとはレベルが違いすぎ、説明役としても解説が困難でした。

以上、青春アドベンチャー作品を小学校低学年の子供に聞かせてみた結果をレポートしました。
やはり低学年というのはハードルが高いですね。
高学年になれば相当聴ける作品の幅が広がりそうに感じます。
いずれ高学年版もやってみたいと思います。

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ちいさなちいさな王様 原作:アクセル・ハッケ(青春アドベンチャー)

作品:ちいさなちいさな王様
番組:青春アドベンチャー
格付:A+
分類:幻想(海外)
初出:2017年1月9日~1月13日(全5回)
原作:アクセル・ハッケ
脚色:西村有加
演出:末永創
主演:本田博太郎

ミュンヘンで公務員をしている“僕”が家に帰ると、お菓子のグミベアの袋がガサガサと音を立てていた。
ネズミか、と思って怖々と手に取ってみると…
「無礼もの!! 頭が高い! 我こそは“十二月王二世”(じゅうにがつおう・にせい) である! 頭が高い! 控えおろう~」
そこにいたのは人差し指ほどの人間。
でっぷりした身体に赤いマント、頭に王冠。
それは、ちいさなちいさな王様だったのだ。

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本作品「ちいさなちいさな王様」はドイツの作家アクセル・ハッケによるファンタジー小説をラジオドラマ化した作品です。
「日常生活の中に、ある日突然、小さな人間が出現する」という筋立てを見ると、2014年の青春アドベンチャー「びりっかすの神さま」を思い出すまでもなく、童話または少年向けの児童文学作品を想像するかと思います。
しかし本作品は、そのファンタジックなシチュエーションにも関わらず、寓意をふんだんに含んだ内容からか大人に受けている作品のようです。

例えば“王様”の生まれたところでは、生まれた時が一番大きく、歳を取るにつれ小さくなるとのこと。
それはおかしいという“僕”に対して、“王様”は「小さくなるということは自由になること」と主張します。
逆に人間は成長につれ身体は大きくなるが、同時に想像の世界はどんどん小さくなっていく、人間こそが成長につれ小さくなっていくのだ、と。 
“王様”と生活するなかで、“僕”は様々なことを今までと違った視点からみることができるようになっていきます。
夢とはどういうものなのか、通い慣れたいつもの道が持つ魅力、生まれること死ぬこと…
本作品は、子どもが聞けば単なるちょっと不思議な話に過ぎないのでしょうが、ある程度人生経験を経た大人が聴くと色々と「刺さる」言葉がある作品のようです。
ただネットの書評を見ていると書かれている内容はバラバラで、「刺さる部分」や「刺さり方」は人それぞれのようです。
ある程度分かりやすいメッセージはあるのですが、どちらかというとそれを明確に押しつけてくると言うよりは、ふわっとしたストーリーをそれぞれが自分の人生経験に応じて勝手に深読みしていくような、懐の深い作品であると思います。
ところで、「刺さる」といえば、本ラジオドラマで王様が“僕”を杖でついたときのSEは「ブスッ」という、ほとんどナイフで刺したようなSE。
とても痛そうです…

さて、本作は全5回の小編で、意外な展開があるわけではなく、概ね予想通りの結末へと向かっていきます。
改めて考えると、“僕”が早くに父を亡くしているという設定は、“王様”を父親と重ねるための伏線だったのかなとか、中盤で命がどこから来るのかなどという話が出るのは終盤判明すること(ネタバレ防止)の伏線だったのかな、など思うこともありますが、それ自体深読みに過ぎないようにも思える、落ち着いた作品です。
個人的には「びりっかすの神さま」のような意外な展開で外連味のある作品の方が好きですか、名古屋局らしい大人向けの作品で、これはこれで評価する方も多いと思います。
近年の名古屋局の「5話もの」は、「機械仕掛けの愛」(2014年)、「カモメに飛ぶことを教えた猫」(2015年)など、傑作とまではいえないとしても良作が多いように感じます。

さて、本作の出演者は7名ほどいるのですが、主要なキャストは3名のみ。
“王様”こと“十二月王二世”役が俳優の本田博太郎さん、“僕”役は俳優の高橋光臣さん、そして紅一点の“ミス・ブレッツェル”役が声優の牧口真幸(まきぐち・まゆき)さんです。
本田さんは、みなさんご存知のとおり、日本を代表する名バイプレーヤーとして、舞台、映画、TVなどに多く出演されていますが、本作品では主演。
恐らく青春アドベンチャー初主演だと思いますが、いうまでもなく堂々たる“王様”ぶりです。
高橋光臣さんは現在34歳。
2006年の「轟轟戦隊ボウケンジャー」の明石暁(ボウケンレッド)役がTVドラマ初主演でした。
青春アドベンチャーでは2009年の「ふたつの剣」で主要キャストである野間恒を演じています。
また、牧口真幸さんは主要3キャストの中では唯一の声優さんで、名古屋局らしく愛知県出身の方です。
牧口さんの演じる“ミス・ブレッツェル”は序盤は完全に「ツン」なのですが、終盤、見事に「デレ」ます。
デレたあとのかわいさはなかなかのものです。

ところで、みなさん「グミベア」ってご存知でしたか?
ドイツと北米ではお菓子のグミは熊の形をしているのが一般的なのだそうです。
知らなかった。
ちょっとしたトリビアですね。



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